◆蕎麦猪口(ソバちょこ)につきまして。


最近、「蕎麦猪口」は、若い人たちにもちょっとした人気アイテムになっています。


持ったとき、手にしっくりと収まる、あくまでも単純な、カタチ。
昔から人々は、このシンプルで使い勝手の良いカタチを好み、ゆえに、たくさんの蕎麦猪口が生まれてきました。

蕎麦猪口の原点になるのは、「古伊万里」。

白い磁器肌に、あい色のいろいろな絵柄が描かれた古伊万里の磁器。

蕎麦猪口も、その古伊万里の一つです。

蕎麦猪口は、蕎麦を食べるための器としてだけでなく、食器として使い勝手がよい器。ゆえに、「雑器(ざっき)」ともいわれてきました。

そして、雑器であるがゆえに、今もいろいろな用途で、気軽に使い楽しめる、現役の「雑器の王様」なのです。

ほとんどの蕎麦猪口は、口径はおよそ7センチ。そして、高さがそれよりわずかに小さく、底の径はおよそ4センチから6センチ。

これは、コップのような単純なカタチ。

コップは世界中にありますが、直径がほぼ7センチのものがと多いといわれ、蕎麦猪口と、まさに同じなのです。

18世紀後半江戸末期、そばは大ブームになります。江戸の街中に4千件近いそば屋があったという文献も残されていて、まさに今で言うファーストフード店の様なものでした。

このそばの流行とともに、蕎麦猪口もありふれた器になり、何にでも使いやすい形になっていったのです。

一方、このころは飲酒も大衆化し、お酒を飲むための器、燗徳利(かんどっくり)用の小さな猪口も生まれています。

絵柄のもうひとつの楽しみが、「見込み」です。
そば猪口をのぞき込むと見える、器の底に描かれたかわいらしい模様たち。

紋章、草花、昆虫、動物など、見込み文様にも数多くの絵柄があります。

その文様も、時代時代のモードを表しています。

蕎麦猪口の絵柄の中で、ずば抜けて多いのが自然の風景です。

気に入った器を丁寧に、大切に使っていとおしむと、次第に使う人の手になじむ様になる、といわれています。

蕎麦猪口は、長い年月を、さまざまな人に使い継がれてきた器です。そこに、この器ならではの「美」があるのです。

江戸の初期から造られてきた蕎麦猪口。その造られた大まかな年代が比較的簡単にわかる方法があるそうです。

いつごろのものなのか?蕎麦猪口の裏を返して、底を見れば、ある程度、年代を推測することができるといいます。

数百年の時間、何人もの、いろんな人たちの暮らしを渡り歩いて、今も愛され、使い続けられている「蕎麦猪口」。

ここには、古いものを、上手に使い続ける、日本人の知恵と美意識があります。

「蕎麦猪口」は、器としての生命力、そのチカラに満ちあふれた「器」なのです。


若者に人気の蕎麦猪口
    若者に人気の蕎麦猪口

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