◆瀬戸焼きにつきまして。


愛知県瀬戸市で焼かれる瀬戸焼です。

昔から、瀬戸市一帯は窯業が盛んな地域であったようで、瀬戸という地名も「陶都(すえと)」から転じて「せと」になったとも言われています。

現在でもこの辺りは全国の陶器を代表する一大窯業地帯となっています。

しかしながら、これほどにまで有名な瀬戸焼ですが、現在の瀬戸焼では一部の茶器を除くとこれといった特徴があまりないのが実際のようです。

逆に言えば、古典的な焼き締めの壺から、素朴な化粧土がほどこされた花瓶や民芸調の絵が描かれた皿などの陶器に至るまで、種類が豊富なことで全国の陶器のスタイルを一度に楽しめる、という点が特徴なのかもしれません。

瀬戸焼の代表である磁器は、19世紀の初め頃、磁祖と呼ばれる加藤民吉(かとうたみきち)によって創始されたものです。

有田焼とはまた違った独特のぬくもりを備えており、やがて絵付けの技術も発達してさまざまに展開し、日本の焼き物界で一世を風靡しました。

落ち着きのある白磁や気品に満ちた染付けや上絵は大変魅力的なものですが、瀬戸焼の人気が高まったことで大量生産の道を歩むこととなり、作品としての特徴をやや失ってしまった、という感があるのも否めません。

しかし奇抜な特徴がなく、一般的で丈夫で飽きが来ないという点では、日常使いのの食器としてはもっとも理想的であると言えるでしょう。

瀬戸焼にはこれと言った目立つ特徴が見つかりにくいのですが、逆に全国の陶器のスタイルを一度に楽しめるという点が特徴といえるのかもしれません。

瀬戸焼が、素朴な民芸調から優雅な染付けまで、全国の陶器を模倣できているのにはいくつかの要因があります。

そのひとつとされるのが、市内の採掘場から良質な陶土や陶石が豊富に出土していることです。

中でも、石英分を多く含んだ赤津蛙目粘土(あかづがいろめねんど)は陶器の主原料となり、可塑性の高い本山木節粘土は陶磁器の主原料となっています。

瀬戸焼の発祥の地とされている猿投山に抱かれた赤津町では、現在は磁器が中心となりつつある瀬戸焼の中で、「赤津焼」という国の伝統工芸品に指定されている陶器を主体に焼いています。

赤津焼には伝統的な釉薬が7種類ほどあり、中でも灰釉や古瀬戸釉(こぜとゆう)、御深井釉(おふけゆう)が特徴的な釉薬として挙げられます。

灰釉は草木の灰を用いたもので、焼き上げると緑色の美しいビードロ状になり、平安時代から受け継がれてきた古典的な釉薬です。

古瀬戸釉は茶陶などに多く見られ、鉄釉の一種で木灰に砕いた鬼板粘土を混ぜたもので、釉薬をかけた黒色の表面に茶褐色の斑模様が出るのが特徴です。

そして御深井釉は、灰釉の一種で青みを帯びた美しい色を生み出しています。

ほかに、志野や織部、黄瀬戸などの釉薬も見られますが、これは隣接する美濃焼の影響を受けたものだと思われます。

瀬戸 赤津焼き
      瀬戸 赤津焼き

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