●備前焼きにつきまして。


備前焼きは古くから岡山県の山間地域や伊部を中心とした地域で焼かれたやき ものをいいます。

もともと須恵器という古墳時代の黒いやきものが多く焼かれた 地域です。

●室町時代の種壺。


よく引き合いに出されるのが、国宝の「一遍上人絵伝」です。

この中に備前の古い町である「福岡の市」の様子が描かれており、その絵の中に大きな壷が描かれています。その色合いが黒かったり、赤かったりに描かれています。

そのため備前のやきものはこの絵伝が成立した1299年の頃に黒から赤いやきものに移行したと考えられています。
 
黒から赤い焼き物に変わったとは、煤が多く発生して黒くなる「還元焔焼成」から、やきものが赤く変化する「酸化焔焼成」に変化したことを示しています。

なぜやきものが赤くなるのでしょうか。みなさんは小さい頃、学校の理科の実験で、鉄の釘を水にさらして置いておくと、赤く錆が出たことを覚えているでしょう。

それを酸化現象といいます。それと同じ事がやきものを焼く窯の中で起きたと思えばいいのです。すなはちやきものの原料である土の中にある鉄分が、燃焼するときに窯の中に入ってくる酸素と結びついて赤く変化するのです。これが赤いやきもののできる原理です。信楽の赤も同じ理由からです。

すなはち備前はやきものの色を主流である赤に変化させたのです。

それは一説に常滑という中世最大の窯場の作品が備前の商圏を侵して、瀬戸内海に進出してきたから、それに対抗して同じ赤のやきものに変えたともいわれています。

それゆえに備前はその地位を保ち、現在まで人気あるやきものとして存続してきたともいえるのです。

備前といえば桃山の茶陶としての備前が一番人気があります。

その人気の秘訣は、他のやきものと比べて、作品の味わいとしての変化が多いからともいえます。
 
桃山時代から江戸時代のお茶に使われた備前焼きの特徴は、畳に接地する高台や底が丁寧に仕上げられていることです。

茶道の懐石料理に使われるため、漆などの高価なお盆などにキズをつけないための配慮とも考えられます。
底をしっかり見ることが大切です。

また壷作品に多いのは、口の縁が丸くなっている。


赤い色合いが特徴の備前焼き
    赤い色合いが特徴の備前焼き

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